📋 この用語の要点
みなし譲渡とは、贈与・低額譲渡・現物出資など、対価が時価より低い取引を「時価で売却した」と擬制して課税する税法上のルール。所得税法59条・法人税法22条・消費税法4条で規定。事業承継や法人成りで要確認の論点。
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みなし譲渡とは
みなし譲渡(みなしじょうと)とは、実際には現金のやり取りが少額または無償でも、税法上は「資産を時価で譲渡したものとみなして」課税する制度のこと。所得税法第59条、法人税法第22条、消費税法第4条第5項などで定められている。法人化・事業承継・相続準備・親族間取引で特に問題になりやすい論点だ。
みなし譲渡が発生する主な場面
- 個人から法人への低額譲渡:個人事業主が法人成りで資産を会社に売却するケースで、時価の1/2未満なら時価譲渡とみなされる(所法59①)
- 個人から法人への贈与・遺贈:これも時価譲渡扱い
- 法人の役員・従業員への現物給与・社宅貸与:時価相当の経済的利益を給与とみなす
- 法人による自家消費・贈与:消費税法上、事業用資産を私的に使えば「自家消費」として課税対象
- 限定承認の相続:相続時に「時価で被相続人から相続人に譲渡」とみなされる
個人 ↔ 個人の場合は原則「みなし譲渡」にならない
個人間の無償譲渡・低額譲渡は、譲渡所得課税ではなく譲渡所得(取得費引継ぎ)または贈与税の対象となるのが原則。みなし譲渡課税の対象は「個人 → 法人」「法人 → 役員・株主・第三者」が中心になる。
個人事業主が法人化(法人成り)するときの注意
個人事業の在庫・固定資産・営業権を新設法人へ移すとき、対価を時価より大幅に下げると「みなし譲渡」課税が発生する。次のチェックが必要だ。
- 在庫や機械設備は時価で売買契約書を作成する
- 不動産は鑑定評価額か路線価ベースで時価を算定
- 営業権(のれん)は将来収益還元法などで算定し、契約書に明記
- 消費税の課税事業者であれば、譲渡対価に消費税を上乗せして請求する
法人による役員・親族への低額譲渡
法人が役員へ時価より安く資産を売却した場合、差額は「役員賞与」とみなされ、法人税の損金不算入+役員側の所得税課税のダブルパンチになる。社宅・社用車・在庫・売掛債権など、譲渡時は必ず時価評価を行うこと。
「時価」の算定方法
- 市場性のある資産(株式・不動産・自動車):取引価格・路線価・査定額
- 骨董品・美術品:鑑定書または専門家評価
- 事業用機械:簿価ではなく中古市場の時価
- 無形資産(営業権・特許):DCF法・類似取引比較法
みなし譲渡課税を避ける実務
- 事前に税理士へ相談し、時価評価の根拠資料を残す
- 譲渡契約書・売買契約書を整える
- 法人成りや事業承継のスケジュールを年度をまたいで設計する
- 含み益のある資産は譲渡時期と損益通算の余地を検討
- ファクタリングなど売掛債権の譲渡でも、時価との差は留意する
典型的なトラブル事例
個人事業の店主が、引退に際して在庫1000万円分を息子の新設法人に「タダ同然」で渡したケース。税務調査で「みなし譲渡」と認定され、所得税・住民税で数百万円の追徴課税が発生した。「家族だから」「自分の会社に移すだけだから」という感覚で取引を進めると、後から大きな税負担が発生する典型例だ。事前に税理士に確認し、時価に基づく契約書を残しておくことで、こうしたリスクは回避できる。
よくある質問(FAQ)
みなし譲渡は誰が監修していますか?
本記事は税理士 増田 良之が監修しています。専門領域に基づいた正確な情報提供を心がけています。
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✏️ 編集部より
みなし譲渡は買取・現金化の現場で頻出する重要用語です。基本を押さえておくことで、契約や査定の場面でトラブルを避けられます。疑問があれば編集部までお気軽にお問い合わせください。
税理士 増田 良之
監修:税理士 増田 良之
